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今週の一冊 概要・表の見方・経緯など

いろいろ長々と思いの丈を書いてしまいましたが、とりあえず「「今週の一冊」概要と表の見方など」だけ読んでいただければ本文の理解に不都合はないかと。

○「今週の一冊」概要と表の見方など
 「今週の一冊」というコーナーは、「世の中のありとあらゆる書物から、「メイド」「女中」「小間使い」「制服」「女給」「ウエイトレス」等々の単語を手がかりに趣のある文章を探し出し紹介するコラム」(渡辺プロデューサーのつけた説明)という趣旨で2001年10月から2004年7月まで足掛け四年間に渡り墨東公安委員会が連載していたものです。途中中断していた時期もあり、また最後は不定期連載になってしまいましたが、おおむね毎週更新して、合計百回にわたりました。
 当初掲載時はテレビ番組を模して13回ごとに「1クール」と称していましたが、これが一年間=52回に達したところで筆者の事情から一時休載し、ここまでを第一部としました。第二部は三ヶ月余り後に再開し、合計百回にするため「1クール」を12回に減らし、やはり4クール掲載して打ち止めとなりました。纏めると以下のようになります。

 第一部「雑破業からマルクスまで」
  1クール目:第1回第13回(2001年10月〜2002年2月)
  2クール目:第14回第26回(2002年2月〜4月)
  3クール目:第27回第39回(2002年5月〜7月)
  4クール目:第40回第52回(2002年8月〜10月)
 第二部「上野千鶴子からシュリーマンまで」
  5クール目:第53回第64回(2003年2月〜5月)
  6クール目:第65回第76回(2003年5月〜8月)
  7クール目:第77回第88回(2003年9月〜2004年1月)
  8クール目:第89回第100回(2004年1月〜7月)

 特にクールが変わったから傾向が変わるなどということはありませんが、節目に当たる時には何か記念と称して長い目のものを持ってきたりしていることもあります。
 当初掲載時は1クールごとに一つのファイルにまとめていたため、書名や著者名から直接本文へ飛ぶことができなかった上、全体を検索することもできず、バックナンバーの閲覧に若干の問題がありました。そこで移転を期に、百回分の一覧を作成したものです。
 表の見方については、連載回数・編著者名(訳者名)・題名・出版社については説明の必要もありませんが、「今週のお題」というのは連載時に付した表題のことで、本文の手がかりとなるよう「今週の〜」と(しばしばかなり無理矢理)付けていました。
 「形態」は書物の形や大きさです。複数の版が出ている場合は、筆者が使用したものを挙げました。21や22といった数字は、図書館の検索システムに倣って、本の縦の長さを示しています。「種類」はその本がどういった分野かを筆者の主観に基づき分類しています。「学術」と「一般」の境界は、出典注と索引の有無を主たる手がかりに、筆者の独断と偏見に基づいて決定されております。
 その他、移転に際して表現の手直しと若干の加筆(編注・追記の部分)を行っています。大幅な修正は行っておらず、連載時の名残りである時事話題やクールの変わり目などに触れた箇所もそのままにしています。

ここから下は「チラシの裏の落書き」なので、暇でしょうがない方のみどうぞ。

○「今週の一冊」誕生の経緯
 結果的に、中断を挟みつつも三年半に渡って続けられたこの企画はMaIDERiA文章コンテンツの主力となり、おそらく現在MaIDERiAを閲覧していただいておられる方の少なからぬ部分が「今週の一冊」をきっかけに来訪されたのではないかと思います。
 その「今週の一冊」誕生の契機は、ほんの偶然のことでした。2000年の初夏ごろ、筆者が大学サークルの友人に用事があってメールを送った折、本文が二行で終わってしまい寂しかったので、余白にちょうど学科の読書会で読んでいた三谷太一郎『増補日本政党政治の形成』(連載第24回)に出てきた後藤新平の言葉を引用しておきました。その友人もまたその方面に造詣の深い人で、後藤の言葉に感ずるところがあったと見え、メールの返信に当時製作中だった『Pia!キャロットへようこそ』の制服案アンケートのURLを貼り付けて感想を求めてきました。そうまでされては、礼儀上次のメール返信用にまた何か引用をしないわけにはいきません。かくして筆者は書架を漁り、それらしい言葉を探し出したのでした。
 その友人とのメールのやり取りは数度で終わったのですが、しばらく後に『旦那様と呼んでくれ』の酒井シズエ氏とちょくちょくメールをやり取りする機会があり、その時に以前友人に送ったメールを思い出して再利用したのでした。その蓄積はすぐに尽き、以後メールの回を重ねる度に新ネタを書棚から発掘していましたが、そのうちメールの本文を書くより引用のネタ本を探す方が時間がかかるようになってしまいました。本末転倒もいいところですね。
 そこで、あらかじめ自分の蔵書や折々読んだ本から使えそうな箇所を引用してストックしておくようにしました。それらが積もり積もって、連載開始時には確か30回分近くあったように思います。
 「今週の一冊」で取り上げている書物や引用の内容が必ずしもメイド趣味の人の期待に添うようなものではないのは、もともとが上記のような経緯で始まった企画だからです。必ずしもメイドや制服などについて調べようとして本を紐解いていたわけではなかったのです。特に初期は、書架に収めた書物の背表紙を見ながら「この本に『メイド』『女中』なんて言葉はあったっけ?」と記憶を手繰ってネタ本を探していました。このようにして集められた引用でも、数が溜まればそれなりにメイドについての知識は増えてくるようにはなりました。
 こうして次第に数が溜まってくると、文献案内としても多少は使えるかな、という欲目も出てきました。そしてMaIDERiAは不定期更新でかつ頻度も低かったため、何か連載企画をすれば閲覧してくださる方も増えてサイトが活性化するのではないかと思い、このストックを有効活用できれば・・・と考えたわけです。

 最後に決意を固めたのは、ある同人誌の記事がきっかけでした。
 1990年代末期から今世紀初頭、メイド同人誌の分野で大変有名だったサークル「制服学部メイドさん学科」さんが出された、2000年冬コミ合せの『Beyond The Century』という本があります。今となっては知っている方ももう多くはないのかもしれませんが、このサークルさんはメイドさん研究系同人誌の元祖にして一つの到達点であり、筆者などは当初からこのサークルさんの存在を念頭においてニッチを探すことに専念していました(苦笑)。このサークルさんの同人誌にはちゃんと文献案内もあり、そのため当初筆者はネット上で「今週の一冊」のような企画をやる意義をあまり感じなかったのです。
 なのですが、この『Beyond The Century』の中で、これも有名なメイドゲーム『ELYSION』(筆者は実はやったことがありませんが、前世紀末エロゲーを中心としてメイド属性が大きな発展を遂げていた頃最も評価の高かったゲームでした。その評価は一にも二にもシナリオによっていました)のシナリオライター・藤木隻氏がこんなことを書いておられたのです。
「そもそもメイドってなんなんだ?」
 そこまで戻って考えなければ、にっちもさっちも行かなくなってしまった藤木は、いつも利用する近所の図書館へ駆け込んだ。メイドさんに関する文献を漁るつもりだった。正しい知識を身につけた者にこそ、神は微笑むのである。
 だが無い。一冊も無い。
 メイドさんを研究した本は図書館には存在しなかった。(中略)
 藤木はこう結論づけざるを得なかった得なかった。『メイドさんは本に載ってない』と。
 これを読んで、正直なところ小生は「それは図書館の蔵書が少なかったか、探し方が悪かっただけではないか」と思ってしまったのです。アナール学派やケンブリッジ・グループの名を挙げるまでもなく、社会史や生活史など呼ばれる分野は研究が進んでいますし、女性史の研究も盛んになっていますし、無いことはないはずなのです。
 成程そのまんま一冊メイド、という本はほとんどないでしょう(現在では数点挙げられますが)。しかし様々な本に手がかりは記されているはずです。断片でも、それを集めて示すことに意味が無いことはないだろう、と考え、ストックを頼りに連載に踏み切ったのでした。 

○思い出す本の話
 連載開始時にはおよそ30回弱、半年分くらいのストックがあったのですが、これでは到底足りません。そこで連載の傍ら使えそうな本を探す必要が出てきます。
 上記のように当初は本そのもののコンセプトとは関係なく、ただ「メイド」「女中」のような単語があるかどうかを基準に探していました。むしろ意外な本の意外な文脈での「メイド」「制服」登場を楽しむ、くらいのつもりでした。しかし、全く読んだことのない本についてこういった単語の有無を確かめるには基本的に全部読むしかなく、探し方としては不合理です。そのため次第にメイドや女中に関する内容を扱っている、社会史系統の本を中心に探すようになり、当初の目論見とは外れてきましたが、メイドなどについての文献を探しておられる方にとっては結果的にその方が良かったのかもしれません。
 読まなくてもあらかじめ使えそうなキーワードが載っている本かどうかを確かめるという点では、学術書が一番便利でした。何しろ巻末に索引が付いているので、まずそこを見て「家事使用人」などという項目の有無を確かめれば効率的に探すことができます。事項索引がなくても、こういった本ならば目次を見れば大体見当はつきます。
 小説の場合、ミステリなどに多いですが、登場人物紹介が巻頭に載せられている場合があります。このような場合も、そこにメイドがいるかどうか確かめればこれまた効率的に探すことができます。
 もっとも、印象が深いのは、「今週の一冊」に使えるなどとは夢にも思わず読んでいた本の中に思いがけず「メイド」などの登場を見た時の方です。一番個人的に強い印象があるのは連載第45回のペトロスキーの本でした。まさかこの本にかくも豊富な使用人を巡る話題が掲載されていようとは予想もつきませんでしたから。
 既に紹介した「制服学部メイドさん学科」さんであるとか、或いは他の文献紹介サイトの方々となるべく本が被らないようにしたいと思っていましたが(ネタ仕込みしてしまっていて、結局使ってしまった回もありますが)、その意図からもこのような一見メイドやら制服やらと関係のなさそうな本からネタを探し出せれば、まことに好都合だったわけです。
 関係のない本から引っ張ってきた、というので自分で気に入っているのは連載第60回の『DUO』、英語の参考書からのです。当時『もえたん』はまだなかったと思いますが、あらかじめ萌えるように作られた本を「萌え〜」などといって消費するのではなく、まったく別個の目的で作られたものを別な文脈で読み直してみる、そっちの方が面白いと筆者は思っています。結果的には、そのような筆者の立場を良く表せた一冊となりました。

 連載を百回で終わりにすることは、第二部を始めた頃にはなんとなくそう考えていました。次第に本の紹介に凝る場合が増え、記事を書くのが大変になってきたということ、そしてネタ本を探すのが段々大変になってきたこと、身辺の諸事情なども理由の一つです。しかし最大の理由は、如何なる本を読む時でも「あ、この本は『今週の一冊』に使えるな」ということを半ば無意識的に念頭に置きつつ読むようになってしまったいることに気が付いたからで、これは本を読むことの意味が本末転倒しているなと思い、適当なところで切り上げようと決意するに至りました。
 最終回は『日の名残り』にしようと前々から思っていましたので、それまでを埋めるネタ仕込みに励みました。そうして出会った書物の中で最も印象が深かったのは、連載99回に紹介したブラム・ダイクストラ『倒錯の偶像』です(だから最終回の一回前に持ってきました)。図書館で見つけ借り出して読み始めたところ、これは素晴らしい本だと読み進めるうちに悟り、早速購入すべくアマゾンで探しました・・・が既に品切れ絶版。しからばと古書店サイトで検索したら数点発見。そこで一番安い(5500円)二店舗のどちらかに発注しようとしたのですが、それが大阪と熊本という遠隔地の店でした。注文してから届くまで待つのもじれったい思いに駆られ、検索でひっかかった古書店を良く見ると、二番目に安い値段(5600円)をつけていた店が神保町の小宮山書店であることに気がつき ました。神保町なら通学経路。振込手数料・送料考えたらこっちの方が安いかも、と翌日早速立ち寄ったら、値札が赤ペンで修正されて5000円になってしました。いい買い物をしたなあ。
 本はこのように集めていたのですが、結果として百冊の本のうち昔から家の蔵書だったものが13点、図書館で借りたもの20点、自分で買ったものは残りの67点でした(うち新品42点、古書店で購入したのが25点)。総取得コストは10万円くらい? 予算と場所の許す限り、いい本はなるべく手元に置いておきたいものです。あと本は買った方が読むような気がします(笑)
 それはともかく、ダイクストラのような本をきっちり紹介するには「今週の一冊」という形式では充分ではないなとも思うようになりました。そこでその後「読書妄想録」という企画を立ち上げたのですが・・・毎週更新などという縛りがないとなかなか進まないようです(苦笑)。そのうちダイクストラの再読もやろうと思っているのですが。
 ともあれ、「今週の一冊」はこうして完結しましたが、今後も「読書妄想録」筆者のブログで書物の話題(メイドや制服に関係がどの程度あるかはともかく)を扱う所存ですので、今後ともご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。 

(2006.1.29.)

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