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今週の一冊 第3


今週の階級闘争

 私は同じキリスト教徒にも私たちと下層階級の二種類があることに出し抜けに気づき、戦 慄を覚えた。 召使いは私たち子供をほんの小さいころから、「ロバート坊っちゃま」、「ロザリーンお嬢さま」、「クラリッサお嬢さま」などと呼ぶようにしつけられていた が、まさかこれが敬意を込めた呼び方だとは知らなかった。「坊っちゃま」や「お嬢さま」は他人の子供に話しかけるさいの接尾語だとしか思わなかった。それ がいま、召使いは下層階級で、私たちは「私たち」なのだとわかったのである。

ロバート・グレーヴズ(工藤政司訳)『さらば古きも のよ』岩波文庫


 第1次大戦を描いた文学作品として、ドイツ側の『西部戦線異状なし』に並ぶ作品として評価されているそうですが、日本での知名度は余り高くないように思 います。ロバート・グレーヴズも詩人・作家として有名な人だそうですが、筆者はこの本を読むまで知りませんでした。彼はイギリスの伝統ある家系に生まれ、 幼いころからイギリスの伝統的文化のもとで育ったのですが、パブリックスクールや戦争での経験を通じてそれへの批判を述べた自伝が本書です。といっても、 文中に沢山出てくる文学者の話は、無教養な小生にはさっぱり分からないのですが、第1次大戦が好きなミリオタ(残念ながら日本には殆どいませんが)ならず とも、普通に読んで面白い本ではあるでしょう。メイドさんの話は直接には余り出てこないけれど、メイドさんを取り巻く文化状況を知るにはいいと思います。

(2001.11.23.)

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