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今週の一冊 第8


今週の農村問題

 “めろ”というものはどげなものか知っておじゃいもすか。“めろ”とは人間の牛馬のよ うなもの。都会の商店や、普通の勤人の台所で働く女中なんぞというそんなあまい響きをもつ職業とはおよそケタちがいの“作女”でございもすと。
(注:“めろ”は原文では“”ではなく傍点が附されている)

宮本常一・山本周五郎他監修『日本残酷物語5 近代 の暗黒』平凡社ライブラリー

 言葉の感じで分かるかもしれませんが、これは鹿児島県の話。鹿児島県は紡績女工の「一大供給地」といわれていたそうですが、それもこれも土地が貧しいか らでした。苛酷な労働環境と一般に言われる紡績女工すらも、故郷の貧しい農村に比べれば、彼女達にとってましな環境だったのです。ついでに鹿児島県は女中 さんの供給源でもあったみたいですが、都会の家庭で女中さんに就職できたというのは、実はかなり幸運な部類だったのかもしれません。“めろ”というのは農 家で働く女性の奉公人のことですが、その労働の厳しさ、待遇の低さは紡績女工をも凌ぐものであったと、この本の中では述べられています。この『日本残酷物 語』は1959〜61年に出版され、現在平凡社ライブラリに収められており、記述には古さを感じざるをえませんが、読むものを引きつける力は失われていな い と思います。

(2001.12.28.)

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