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今週の一冊 第11


今週の死刑執行

 63 4月10日、ゼーバルト・カイザー、ニュルンベルク市民で縁飾り 職人。彼は妻がありながら、女中で世過ぎをしている十四歳ほどの少女を犯した。ニュルンベルク市にて打ち首の刑に処した。
 (中略)

 127 5 月5日、シェーデルの娘クニグンダ、シュナーベルワイト出身。百姓家の女中であったが、主人の七十歳になる百姓との間に、ヒュールで子を産んだ。彼女は産 み落とすやいなや、赤児の首をしめ厩舎に埋めて隠した。嬰児殺しの廉で、彼女をベッツェンシュタインにて打ち首の刑に処した。頭は獄門台に打ちつけた。 60年以上かの地で処刑された者は一人もいない。

フランツ・シュミット(藤代幸一訳)『ある首斬り役 人の日記』白水社

 17世紀頃のドイツはニュルンベルク市の、死刑執行役人の日記の邦訳版です。この当時、に限らずとも、大体犯罪者で捕まって処刑されるのは男の方が多い と相場が決まっていますが、女性で死刑に処せられる場合、もっとも多いのは嬰児殺しでした。望まぬ妊娠で出来てしまった子を・・・というパターンですが、 その望まぬ妊娠の原因の代表例が、ここに挙げたような『ご主人様に手をつけられた女中』でありました。それにしてもこの百姓、七十にもなってようやるな。 そして強姦して死刑になった男もおるわけですが、この日記を読むと、強姦が鞭打ちなど死刑より軽い刑に処せられた事例もあるようです。日記には記載されな かった、様々な状況があったのでしょう。簡潔な記録の行間から、近世ヨーロッパの世界を垣間見ることが出来る貴重な記録であります。そして、女中さんたち の立場の危うさをも。

(2002.1.18.)

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