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今週の一冊 第12


今週の歴史学

 進歩の仮説は論破されてしまいました。西洋の没落というのは、もう引用句が要らないく らいファミリ アな言葉になりました。けれども、大騒ぎは別として、本当は何が起ったのでしょうか。(中略)彼 (注:A・J・P・テイラー)が述べているところによりますと、文明の没落に関するすべての議論は、「昔の大学教授は女中を使い慣れていたのに、今では自 分で食後の洗いものをしている、ということを意味するに過ぎない。」もちろん、かつて女中であった人たちの眼から見れば、大学教授が洗いものをするのも進 歩のシンボルかも知れません。

E・H・カー(清水幾太郎訳)『歴史とは何か』岩波 新書

 歴史を学ぶ際の古典とされている書です。今から四十年ほど前に書かれた本ですが、今日なおその内容は歴史を学ぶ者にとって必読といってよい内容でありま す。さて、引用は第5章「進歩としての歴史」からですが、19世紀の西洋文明が「人類は良い方向へ向かって進歩しており、その過程を描くのが歴史学であ る」という信仰に基づいていたのに対し、両大戦を経て文明の進歩を単純に信じることが出来なくなった以後の、そしてその戦争の結果、西欧の圧倒的な勢力が 低下してしまったことを踏まえての一節です。考えてみれば、メイドさんという職業が興隆し衰退する過程は、世界における西欧文明の(特に英国の)占める勢 力の大きさと、どこか一致しているような気がします。両大戦後の世界を見れば、アメリカ文明は電化機械化されてメイドさんの必要が低下してますし、ソ連 は・・・レーニンは「共産主義とはソビエト権力プラス全国の電化」とかいってたんで、まあ多分メイドさんは不用になるのでしょう。そこらへんの追及は来週 を待て。

(2002.1.25.)

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