今週の考古学
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女召使
紀元前1900年頃(中王国時代)
エル・ペルシャ出土
木、彩色
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どこか見知らぬ土地で、ふと道すがら、こんな少女の姿に目がとまった、といった風情が
ある。頭上の籠に焼きあがったパンか何かを載せて、いまどこかへ運んでいるところだろう。(中略)何の装身具も身につけていないが、両前肩に垂れる房々と
した黒髪、くま取りが少々きついが、整った顔立ち、美しい姿態。特に興味深いのは、彼女が身にまとっている衣類である。右乳房を露わに、左肩だけで吊って
いる。
『「大英博物館展―芸術と人間」図録』より
古代エジプト出土品の木像の写真につけられたキャプション
およそメイドだろうが女中だろうが、時代も場所も節操のない本連載ですが、前回の中世にあき足らず、今回は遂に古代エジプトというおよそメイド趣味とか
け離れた領域に突入してしまいました(笑)。引用元は1990〜91年に行われた展覧会の会場で売られていた展示物カタログです。フルカラーの立派なもの
ですが、書籍ではないのでISBNコードなどもなく、入手は非常に困難と思われます。さて、これはエジプトで出土した木像についている解説。古代エジプト
人は、死後の世界での生活のために、現世での日常生活の様子を再現した副葬品を作りましたが、これはその一つです。なお中王国というのは古代エジプトが繁
栄していた時代の一つですが、ピラミッドを造ったのは古王国です。女性の召使いの服装を表しているのが面白いので引用してみましたが、これのコスプレはさ
すがに不可能ですね。
(2002.3.17.)
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