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今週の一冊 第20


今週のあったらいいお店

 入ってすぐのところに向かい合って席を占めたふたりを、目ざとく見つけたウェイトレス が、すべるようになめらかな足取りで近づいてくる。
「いらっしゃいませ」
 水の入ったコップとおしぼりをそれぞれの前に置き、革張りのメニューを差しだす。
 銀のお盆をきらめかせながら、テーブルとテーブルの間を器用に縫ってゆく彼女たちは、皆、黒のワンピースに、襞で縁どられた白のエプロンという、明治時 代のミルク・バーを思わせるアナクロな衣装。「ウェイトレス」というよりは、「女給さん」といった趣きで、店内の調度品とともに、店主の趣味の徹底ぶりが うかがえる。

雑破業『ゆんゆん☆パラダイス 少年注意報!』ナポ レオン文庫

 連載二十回目にして表題通り雑破業先生の作品に到達しました(笑)。雑破業の代表作で、のち辰巳出版から復刻されていた、ゆんぱらの続編です。雑破業の 作品 でメイドといったら『シンデレラ狂想曲』の深冬かなあと思ったのですが、あまりにベタかと思い直しナポレオン文庫から引用しました。余談ですが筆者が台湾 を訪問した折、書店で雑破業先生の著作が台湾版になって出版されているのに感動し、思わず『灰姑娘狂想曲』を買い込んでしまいました。かつて『ファニー・ヒ ル』が輸出され英国の国威を発揚した如く、雑破業先生も日本の国威を発揚したのかもしれません。ちなみに同書では深冬の肩書きの「メイ ド」に「女傭」という訳語を当てていますが、同じく台湾で買ったゲーム雑誌では、「上海メイド物語」というゲームの題名の訳が「上海女僕物語」となってい ました。「メイド」の訳はまだ定まっていないようです。ついでに書くと、『灰姑娘狂想曲』では「コスプレ」を「模<イ方>(編注…人偏に方で一字。倣に同 じ)」と書いていますが、ゲーム雑誌の「同人誌宴會」というゲームの記事に拠りますと、「扮装遊戯」となっています。これも定訳がないようで、アジア二十 億人民の「萌え」連帯のためにも一刻も早い定訳の普及が望まれます(なんのことやら)。あ、そうそう、引用部ですが、「ミルク・バー」というよりは「ミル ク ホール」の方が明治っぽいと思うのですが。

(2002.3.24.)

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