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今週の一冊 第22


今週の正しい呼び方

明治時代には「女中」どころか「下女」「下婢」などと云ったことさえありました。それが 今では「女中 さん」と呼んでも厭がると云うので、「メイドさん」だとか「お手伝いさん」だとか、いろいろ呼び方に苦心するようになったのですから、随分時勢も変わった ものでございますな。

谷崎潤一郎『台所太平記』中公文庫

 大谷崎が晩年にものしたエッセイ風小説です。1958年の発表ですが、戦争の時期を挟んで主人公(≒谷崎)の家に奉公した女中さん達の物語です。何がす ごいといって、「家が賑やかな方がいいから」と必要が大してなくても女中さんを雇い、そうなると出入りの人も「この娘は器量がとても美しいですからぜひこ の家で使ってください」と紹介してくるというわけで、ある種独特な、余人を持って代え難い耽美的な(笑)主人ぶりを発揮しています。さすが谷崎。その辺の 詳細は本作をじっくりと読んでいただくこととしまして、引用部は冒頭に近い一節ですが、「下女」「下婢」という呼び方が「女中」に変化したのは明治四十年 代から大正初期にかけてだそうです。それが戦後「お手伝いさん」に変わるのですが、そのときに「メイドさん」という言い方もあったと引用部から読み取れま す。とすれば、「メイド」という言葉は、ことによると進駐軍経由で日本に入ってきた言葉ではないかと、筆者は推測している今日このごろなのであります。

(2002.3.30.)

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