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今週の一冊 第31


今週の不義密通

 その夜、女主人は不自然にならないように女中のベッドに休んだ。これからどんなことが 起こ るのか、想像もできなかった。ベッドに入ってしばらく、嫉妬のためにまんじりともせずにいると、だれかが部屋へ入ってくる物音がした。一瞬、彼女は泥棒で はないかと思い、身も凍るほどの恐ろしさで声も出なかった。そのとき闖入者が、「メアリー、起きているかい」と言うのを聞いた。まぎれもなく夫の声だっ た。彼女は寝たふりをして成り行きにまかせることにした。
 夫はベッドに入ってきた。だが夫に抱かれながらも、この人は私のことを女中だと思ってこんなことをしていると考えると、彼女は楽しまなかった。そしてた だ夫になされるがままになって耐えた。

チャールズ・ジョンソン(朝比奈一郎訳)『イギリス 海賊史』リブロポート

 1724年に出版された、海賊どもの列伝です。作者のチャールズ・ジョンソンは、一説には『ロビンソン・クルーソー』を書いたデフォーではないかと言わ れているそうです。大変面白い本ですが、リブロポートが潰れちゃったので(面白そうな本いっぱい出してたのに…合掌)、古書店巡って探すしかなさそうで す。
 さて本書には、メアリー・リードとアン・ボニーという女性の海賊の話が載っておりまして、上の引用部はアン・ボニーの出生にまつわる話の一節です。上記 の如き御主人様と女中の不義密通の子が長じて女海賊になったのでした。この御主人様はこの事件で奥さんと喧嘩別れして、しまいに女中さんと同棲したので世 間に批難され、一家でアメリカに移民したそうです。
 ついでですが、もう一人の女海賊メアリー・リードの人生行路も相当に壮絶で、13歳のとき女中奉公に出たものの、この仕事を嫌って水夫になり、ついで歩 兵になり、そんでもって騎兵に転業し、そこで同僚の兵士と結婚したものの夫が死んだのでまた水夫になって最後に海賊になったとか。話としてはこっちの方が 面白いですね。
 余談ですが、杉浦昭典『帆船』舵社 ではこの二人について「当時描かれた絵姿から想像して、それほど魅力的な女性達ではなかったと考えられている」と述べております。まあ、そういうもんで しょうな。

(2002.6.2.)

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