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今週の一冊 第34


今週のナチス・ドイツ

 軍需相シュペーアは、「四ヶ年増産計画」管理者である空軍総司令官ゲーリング元帥の承 認があれば、工場生産にウクライナ女性を活用する旨を(労働問題責任者ザウケルに)承知させた。
 元帥は、あっさりと承認した。
 すでにドイツの主婦の一部は、軍需生産に徴用されている。その負担を軽減するための措置として、ウクライナ女性の導入に賛成する、というのが、その理由 であった。
 軍需相シュペーアは喜んだが、その喜びはす早く失望に転化した。
 責任者ザウケルは、ウクライナから約五十万人の女性を徴発してきたが、元帥ゲーリングは、それら女性を工場には配置せず、なんと党、政府、軍の幹部宅の “女中”にわりあてたのである。

児島襄『第二次世界大戦 ヒトラーの戦い』文春文庫

 文庫にして全十巻、大著であります。膨大な資料を活用して、ヒトラーを軸に第2次世界大戦を描いた作品ですが、本書は時間の進み方が後になればなるほど 遅くなるという傾向があります。全十巻の厚みは殆ど同じなのに、最後のベルリン攻防戦で一冊使ってたりします。
 さて、大戦中、ドイツは占領地から多くの人々を連行して来て働かせました。時にその労働環境は極めて劣悪であり(『クルップの歴史』等 参 照)、戦後の裁判で大きな問題とされました。引用文中のザウケルもその結果処刑されております。しかしまあ、戦争中だというのにどういう労働力の配置をし てるんだ か。ナチスの教義では女性は「産む性」であって、生産労働は男子のみ従事すべきものであると考えられていたといいます。
 ところで、ウクライナの田舎からベルリンなんぞへ連れられてきた女性たちは、農村とは比べ物にならぬ都会の(しかもロシアより進んだヨーロッパの)文化 に触れて、段々垢抜けていったそうですが、その風俗もソ連軍が反攻に転じドイツに迫るとまた元通りになった、なんてエピソードも残っております。
 その独ソ 戦が始まったのが、1941年6月22日、今日はその61周年に当たります。

(2002.6.22.)

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