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今週の一冊 第46


今週の帝国海軍

 現在シンガポール・ヒルトンのすぐ近くにあるグッドウッド・パーク・ホテルの旧館が、 当時 シンガポールの水交社であった。陸軍の将校は、異国人のメイドがいる集会所でも浴衣がけスリッパばき、こんにちでいえば農協海外旅行団のスタイルだが、海 軍の士官は水交社で、ちゃんと白い上着をつけ、白靴をはいて食事をしている。

阿川弘之『軍艦長門の生涯』新潮文庫

 元日本海軍軍人で乗物マニアでもある阿川弘之氏のよく知られた作品です。戦艦長門という軸を通じて、大正・昭和の日本を描いた長編で、海軍にまつわるさ まざまなエピソードが豊富に盛り込まれています。引用部はその中の一つ、太平洋戦争初期に日本が占領したシンガポールでの一齣です。シンガポールは当時英 国領でしたから、「異国人」のメイドさん(何人だったんでしょうね)の衣装も純正英国仕様であった可能性が高い・・・いや、シンガポールは熱帯だからそう はいかないかも。
 ところで本書では、シンガポールでなく日本にそもそもある水交社(海軍軍人の福利施設みたいなもの)の従業員のことを「メイド」と呼んでいる箇所があり ますが、別に海軍にメイドさんがいたわけではなくて、ただ単に女性接客従業員を恰好つけてそう言っていたのでしょう。『英語または英語みたいなもののたくさんまじっているのが海軍言葉の特徴で、(中略)「従兵をボーイと呼ぶな」という お触れが出て二十年経っても、なおボーイ、ボーイと口にする古い士官もいた』と、本書に書いてあり、まあそれなら女性従業員をメイドと呼ぶ ことだって。

(2002.9.14.)

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