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今週の一冊 第56


今週のコスプレ居酒屋

服部時計店の隣りに最近新築のなつた船のクロネコは外貌を大きな商船に象 (か たど)つて、レストランとバーと、珍奇な設計を施して銀座のカフエーの一名物となつてゐる。規模の大きい点では東京第一といつていゝだらう。(中略)当局 から注意を受ける前の計画が、バーを寺院になぞらへて女給に墨染の衣を纏はせ時々お経を唱へさせるとかいふ珍趣向だつだので、それが駄目となつた今ではそ こに特別の面白味のないのは当然かも知れぬ。

今和次郎編纂『新版大東京案内』ちくま学芸文庫

  「考現学」の創始者として知られる今和次郎が1929(昭和4)年、世に送り出した東京ガイドです。大震災から復興した東京市(その範囲は下町と山手 線に囲まれた範囲ですが)の姿を生き生きとかつ詳細に描き出しています。このころはカフェーが隆盛を極め、女給が客引き合戦を繰り広げていた時代でした。
 引用部はその東京のカフェーを扱った章からの引用です。先月名古屋の巫女居酒屋「月天」が閉店しましたが、似たような企画は七十年前の戦前からあったと いうお話。しかし墨染めの衣裳にお経ではねえ・・・さすがに巫女さんの方が(当時の人にとっても)いいんじゃないかと思われますが、まだ軍国主義のはびこ る時代の前とはいえ(満洲事変は1931年)、さすがに時代柄まずかったんでしょうね。まあお寺計画も当局に潰されたんだから、結局は同じことですが。

(2003.3.8.)

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