今週の伝統(新春特別薀蓄超弩級多目版) 私達の学校の制服は 市内で一番ダサイ だから志望校は 市内で一番カワイイ 制服の学校にした (中略) 「早くその制服着たいなあ―――!! 明日からでも着たいなあ!!」 「のりこ… 受験って知ってる?」 ナヲコ「きみみたいにきれいな女の子」 (『DIFFERENT VIEW』コアマガジン ホットミルクコミックス) 昨年末はコミケで当サークルを多くの方にご訪問いただきありがとうございました。私事ですが、三日連続売り子で参加ともなりますとさすがに疲れて、反動 で正月ぼうっとしていたもので更新が遅れ失礼いたしました。初日に鉄道のボードゲームを売れば米澤代表が買っていき、二日目にミリタリ系の本を売ればなぜ か一緒にいた売り子が女子高生だったり、なかなか面白いコミケでしたが。さて、そのコミケでお会いした方に、前回のまついもとき氏ネタのご感想をいただけたので、調子に乗ってホットミルクの本でもう一つ語ってみましょう。引 用したのは筆者がこよなく愛好し、これまでも拙稿で触れたことのあるナヲコ氏の単行本からです。ダサイ制服の中学生が「カワイイ」制服の学校にあこがれ て、お姉さんがそこに通っていた同級生の家に行って制服を試しに着てみて…てなお話。成年コミックに収められたものですが、この話自体はそういうシーンは ない、ほのぼのした一編でした。 ところで、ここで「カワイイ」制服がどんななのかというと、スカートがタータンチェックなんですね(上は紺のニット? にリボンタイ)。以前もちょっと 触れましたが、ナヲコ氏は札幌に以前おられたようで、作中の人物名に札幌の地名が使われたりしています。で、この作品についてあとがきみたいなコーナー で、「わかる人には絶句ものかと…」とあるので、どうも札幌の実在の学校の制服を描いているのではないかと思われます。すると今回のコミケで、何と好都合 なこと、室戸半兵衛編集『札幌女子高制服図鑑私立編』というまんまな本(大変素晴らしい本です。サイトはこちら)があったので早速購 入、学校を特定しようと試みたのです が、正直分かりませんでした。これは、この図鑑のコラムに書いてあったことなのですが、札幌の学校は最近イメージ改善を図って「右も左もタータンチェッ ク」になりつつあるのだそうです。だから同じようなのが多くて、どうもよく分からなくなってしまっている訳で、これについて同コラムでは、東京の手法を数 年遅れで取り入れ、横並び意識が強く成功例をすぐ真似るという「北海道企業の悪癖」であり、かえって差別化のメリットを失っていると評されています。なる ほど。 というくらい、今や女の子の制服の定番となっているタータンチェックなのですが、これはよく氏族(クラン)ごとに模様を変えた、チェックのキルトをス コットランド人がはいていたことがもとだったといわれています。しかし実はこれは、スコットランドがイングランドに併合された後になって、「スコットラン ド伝統の、独自の文化」が欲しいと思った人々の需要と、服屋の商略が合致して捏造されたものなのだといいます。このことを明らかにし、民族のアイデンティ ティである「伝統」は後から作られたものだということを世に知らしめたのが、連載80回のホブズ ボームらが編集した論文集『創られた伝統』紀伊國屋書店 なのであります。 同じようなことは日本にだっていろいろあります。例えば新春恒例行事の「初詣」ですが、こんな言葉は近代以前には存在しなかったそうです。筆者の大学の 先輩で、このことを調べた方によりますと、何でもこれは、明治〜大正ごろから電鉄会社が新年の旅客誘致に言い出したのだそうです。正月にお宮参りをすること自体 はそれ以前からあり、地元でなければその年のめでたい方角(恵方)の寺社に行く「恵方詣」という習慣はあったそうです。が、それでは方角にならなかった 電車は乗ってもらえません。そこで「初詣」という言葉を作り出したようだとか。川崎大師の参拝客を当て込んだ京急(当時は京濱)や、成田山参りの客を運ぶ 京成なんかにとっては重要な宣伝戦略だったでしょうね。 聞いてますか〜、小泉総理! 「初詣は伝統」なんて軽々に言うと後で恥かきますぜ。いくら選挙区が京急沿線だといっても。 えらく余談が長くなりました。話を戻しまして、以前筆者は「ナヲコ氏はメイドの絵は描いていない」とか書きましたが、ナヲコ氏のサイトを最近発見して閲覧しておりました ら、なんとメイドさんの絵が!! アーチェリーメイド? とにかくかっこいいです。一度御覧あれ。 (2004.1.6.) |